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ハイブリッド給湯器、リンナイとノーリツどっちがお得?|気になるランニングコストを徹底比較
ガスや電気などのエネルギーは、私たちの生活に密接した貴重な資源です。
必要不可欠な資源を守るためのエコな暮らしと同時に、費用をできるだけ抑えたいもの。
そこで本記事でご紹介するのが「ハイブリッド給湯器」です。
ハイブリッドとは、異なった要素が混ざり合った状態のこと。給湯器のハイブリッドとは、どのようなものでしょうか?
資源エネルギー庁の「エネルギー白書2022」の統計では、用途別のエネルギー消費割合の中で「給湯」が全体の3割近くに及ぶことがわかりました。
給湯に関わるエネルギーをより省エネにして、環境にもお財布にも優しい暮らしを実現しませんか?
大手メーカー、リンナイとノーリツのハイブリッド給湯器について徹底調査しました!
気になるランニングコストやメリット・デメリットをしっかり比べて、ご家庭に合う給湯器選びのヒントを見つけてくださいね。
目次
1.エコキュートとエコジョーズのいいとこ取り! ハイブリッド給湯器のしくみ
これまでエコな給湯といえば「エコキュート」と「エコジョーズ」が主流でした。
エコキュートは、電気で湯を沸かす給湯器のひとつ。
沸かすときに電力を使いますが、ヒートポンプ式で大気熱を利用するため、少ない電気で稼動します。
また主に電気代の安い夜間電力で湯を沸かし貯めておくため経済的です。
一方、エコジョーズは排気熱を活用した、少ないガス量で効率よく湯を沸かせる給湯器のこと。
ガスの消費量を減らし、ガス料金の節約になると同時に環境にもやさしい給湯方法と言えます。
では、エコキュートとエコジョーズのいいところを兼ね備えた、電気とガスの「ハイブリッド」給湯器とはどのようなしくみなのでしょう。
2大取り扱いメーカーである、リンナイとノーリツの製品についてそのしくみと特徴を詳しくご紹介します。
(1)リンナイ「ECO ONE(エコ・ワン)」のしくみと主な特徴
電気の力でお湯をあたためてタンクに貯蔵し、不足したらガスであたためるリンナイのハイブリッド給湯器。
湯切れの心配もなく、電気とガスで効率よく沸かすため光熱費を抑えられます。
リンナイのハイブリッド給湯器「ECO ONE」の特徴は、生活シーンを学習するGXEマイクロチップを搭載し、生活スタイルに合った最適な給湯タイミングに無駄なくお湯を沸かせることです。
また従来のヒートポンプより高効率なターボヒーティングを搭載し、サイズをコンパクトにしつつ、さらに電気代も安くなるよう設計されています。
使用することでかかるランニングコストだけでなく、本体価格+工事費を含めた「ライフサイクルコスト」も経済的に設計されていて、15年間の利用を想定すると、設置費用が安く効率よくガスを使うエコジョーズより、およそ10~40万円の削減になるデータが出ています。
太陽光発電との組み合わせで余剰電力を効率的に使用するPV活用モードでは、売電価格に比べて使用する電気代の方が高いため、家計全体で見た場合に光熱費が安くなるように設計されています。
(2)ノーリツ「ユコアHYBRID(ハイブリッド)」のしくみと主な特徴
ノーリツのハイブリッド給湯システム「ユコアHYBRID(ハイブリッド)」には、生活パターンに合わせて効率のいいタイミングや湯量を自動で設定してくれる「スマート制御」機能がついています。
生活パターンを記憶し、大量のお湯が必要ないタイミングでは低温貯湯し、夕食やお風呂など、お湯をたくさん使用する給湯のゴールデンタイムに合わせて高温貯湯するため、無駄なく効率よくお湯を使えるシステムです。
従来型給湯器と比べて、戸建て住宅にお住まいの4人家族のご家庭で、年間約8万円弱の節約ができるという事例も報告されています。
またオゾン層に影響するフロンを使用せず、環境負荷が少ない自然冷媒「R290」をハイブリッド給湯システムとしては業界唯一採用。
R290は冷媒としての効率がよく、廃棄時の冷媒回収の必要がありません。
太陽光発電を使っている場合は、さらにお得に。
スマート制御機能により、太陽光発電をする時間帯に優先的にヒートポンプを稼働させる消費優先モードにより、使用する光熱費をさらに削減できます。
またユコアHYBRID-Cでは貯湯タンクと熱源機を分離することにより、設置場所を選ばない省スペース化を可能にし、さらにUV除菌ユニットを搭載した熱源機も選べるようになりました。
省エネを実現しながら、お湯をクリーンに保つUV除菌システムを導入できます。
お湯をクリーンに保つUV除菌システムについてはこちらの記事をご覧ください。
▶話題の除菌ができるガス給湯器とは? お風呂をクリーンに保つ仕組みと対応機種
2.ハイブリッド給湯器に向いている&お得になるのはこんな人!
魅力的なハイブリッド給湯器ですが、どんな人が使うとより便利でお得になるのでしょうか?
メリット・デメリットを含めて、具体的に解説していきます。
(1)オール電化にはしたくないけれど、上手に節約したい
給湯だけでなく、空調・キッチンコンロなどの熱電源すべてに電力を使って稼動させる「オール電化」。
省エネで経済的な点や火を使わないため安全などのメリットがある一方で、導入コストが高くなったり、IHクッキングヒーターでは使用できる道具(フライパンや鍋)に制限があったりというデメリットも。
バランスよくガスも利用したいけれど、節約も実現させたい人にはハイブリッド給湯器がおすすめです。
(2)災害で電気やガスが片方ストップしたときにもお湯が使いたい
地震や台風など、突然やって来る災害。毎年、日本各地で様々な被害がニュースになり、心配がつきません。
電気やガス・水道などのライフラインが止まり、長く復旧しない可能性もあります。
実際に、東日本大震災では約1週間、令和元年の台風15号では約2週間、電気が復旧しませんでした。
ハイブリッド給湯器は、貯蔵タンクの湯・水を生活用水に活用できるだけでなく、ガスが止まった場合には電気で湯を沸かせます。
また停電時でも、車のシガーソケットや太陽光発電の自立運転機能を使い、ガスで湯沸かし可能となる点は大きなメリットではないでしょうか。
(3)家族の人数が多い
家族が多いと湯を使う機会が増えます。特に使用湯量の多い風呂は、生活時間帯が異なることで追い焚きなどが必要になります。
家族の生活時間帯にバラつきがあり、追い焚きの回数が多い場合にはハイブリッド給湯器がおすすめです。
家族の人数が少なく、エコキュートのタンクに貯めた湯量だけで毎日の給湯量が十分たりるご家庭であれば、オール電化+エコキュートにした方がお得かもしれません。
ハイブリッド給湯器はガス代の基本料金がかかるため、使用湯量が少ない世帯ではコストアップにつながるデメリットもあります。
ご家族が多くたくさんの湯量が必要、追い焚きの機会が多いときにはメリットが大きいと言えるでしょう。
(4)寒い地域で、暖房のためのコストが高い
お湯の熱を利用した温水式床暖房やルームヒーターとしても活用できるため、寒冷地で暖房機器の燃料や電気代が高い方にとってお得になるハイブリッド給湯器。
石油ファンヒーターのように排気ガスを出すこともなく、クリーンなお部屋であたたかく過ごせる点もメリットです。
3.ハイブリッド給湯器のランニングコスト
決して安い買い物ではない、ハイブリッド給湯器。どのくらいランニングコストが削減できるのでしょうか?
ファミリー用の大きめサイズで、リンナイとノーリツのハイブリッド給湯器のランニングコストを比べてみました。
ランニングコストのシミュレーションで、どれだけお得かをチェックしてみましょう!
(1)リンナイ「ECO ONE(エコ・ワン)」
設置費用
ダブルハイブリッド(給湯・暖房)
お風呂やキッチン・温水式床暖房のお湯も全て電気で沸かすタイプです。
- 熱電源、タンク一体タイプ
- タンク容量160L
- 給湯24号フルオート
メーカー販売価格 (本体+リモコン) | 104万2,000円~ |
設置工事費相場 | 約20~25万円 |
シングルハイブリッド(給湯・暖房)
お風呂やキッチンのお湯のみ電気で沸かし、温水式床暖房のお湯はガスで沸かすタイプです。
- 熱電源、タンク一体タイプ
- タンク容量160L
- 給湯24号フルオート
メーカー販売価格 (本体+リモコン) | 88万円~ |
設置工事費相場 | 約18万円~ |
LOWBOY(ふろ給湯システム)
ヒートポンプユニット・タンクユニット・エコジョーズが分離構造でコンパクトになっており、窓下据置、エコジョーズ壁掛け設置が可能なタイプと、タンク一体型タイプがあります。
- 熱電源、タンクセパレートタイプ
- タンク容量50L
- 給湯24号フルオート
メーカー販売価格 (本体+リモコン) | 69万6,000円~ |
設置工事費相場 | 約14万円~ |
参考ランニングコスト
リンナイのハイブリッドガス給湯器について、モデルデータにより算出したランニングコストを比較した結果は以下の通りです。
(リンナイのハイブリッド給湯器シミュレーターより)
【モデルデータ】
- 居住地・・・東京23区
- 住居・・・戸建て(温水式床暖房あり)
- 家族構成・・・4人
都市ガス・太陽光発電なし
従来型のガス給湯器に比べ、ガス代が大きくカットでき、50Lのタイプで年間20,800円、160Lのタイプで年間38,100円お得になります。
LPガス・太陽光発電あり
従来型のガス給湯器に比べ、50Lのタイプで年間64,500円、160Lのタイプで年間98,200円お得になります。
(2)ノーリツ「ユコアHYBRID(ハイブリッド)」
設置費用
ハイブリッドGTH(給湯・暖房)
- 熱電源、タンク一体タイプ
- タンク容量140L
- 給湯24号フルオート
メーカー販売価格 (本体+リモコン) | 92万5,000円~ |
設置工事費相場 | 約20万円~ |
ハイブリッドGT(給湯)
- 熱電源、タンク一体タイプ
- タンク容量140L
- 給湯24号フルオート
メーカー販売価格 (本体+リモコン) | 84万8,000円~ |
設置工事費相場 | 約20万円~ |
参考ランニングコスト
ノーリツのハイブリッドガス給湯器について、モデルデータにより算出したランニングコストを比較した結果は以下の通りです。
(ノーリツのハイブリッド給湯器シミュレーターより)
【モデルデータ】
- 居住地・・・東京23区
- 住居・・・戸建て(温水式床暖房あり)
- 家族構成・・・4人
都市ガス・太陽光発電なし
従来型のガス給湯器に比べ、給湯追焚料金が大きくカットでき、70Lのタイプ(バックアップ熱源機)で年間33,700円、140Lのタイプで年間39,200円お得になります。
LPガス・太陽光発電あり
従来型のガス給湯器に比べ、70Lのタイプ(バックアップ熱源機)では年間65,000円、140Lのタイプでは年間73,900円お得になります。
(3)リンナイとノーリツの設置費用とランニングコストの比較
以上の結果から、リンナイとノーリツの設置費用とランニングコストを比較すると、リンナイのエコ・ワンは設置費用がやや高額な傾向にありますが、ランニングコストの削減についてはより多くのコストカットができます。
一方でノーリツのユコアシリーズについては、設置費用は抑えられるものの、コストカットの面ではエコ・ワンより削減率が低い可能性が高くなります。
なお、今回紹介した販売価格、および設置工事費相場はあくまでも参考価格となります。
実際の価格は施工店により異なる場合がありますので、依頼する業者に確認をしましょう。
また、ランニングコストもお住まいの地域や供給会社の料金プランによって変化しますので、実際にシミュレーターで調べてみることをおすすめします。
4.まとめ
電気とガスの両方を効率よく使う「ハイブリッド給湯器」には、メリットがたくさんあります。
コストパフォーマンスに優れ、脱炭素社会の実現に近づける環境への貢献もできます。
災害大国日本においては、ガス・電気・水道のライフラインが停止してしまった際にも有効に活用できる面も嬉しいポイントです。
2大メーカー、リンナイとノーリツのハイブリッド給湯器はいずれも省エネ・低ランニングコストを叶えられます。
設置費用やランニングコストの面で、一長一短ありますので、ご家庭の条件に合わせて比較検討されてみるといいでしょう。
利用する人数が多いご家族や生活スタイルの違いから追い焚き機能をよく使う場合は、とりわけお得に感じられることが多いでしょう。
この記事でメーカー、製品の特徴をしっかり比較検討して、快適な給湯生活にお役立てください。