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給湯器が品薄なのはどうして? 交換できない場合のお店の対応とやってはいけない対処法
2021年に引き続き2022年に入っても、ガス給湯器は品薄状態が継続しています。
給湯器が故障してしまうとお湯が使えないので、生活に大きな支障をきたします。
今回はどうして品薄状態になってしまったのかという背景と、このような状況で給湯器が故障してしまった際には、お店ではどのような対応をしてくれるのか、自分自身でどこまで対応できるのかについてお伝えしていきます。
目次
1. 給湯器が品薄なのはどうして?
どうして給湯器が品薄になってしまったのでしょうか?
最大の要因は世界規模の新型コロナ感染拡大ですが、実はそれ以外にも要因があります。
(1)世界規模の半導体不足
まず、給湯器が品薄になったきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大によってリモートワークが普及し、リモートワーク用のパソコンを企業が大量に購入するなど、半導体を利用する電化製品の需要が高まり、世界規模で半導体が不足しているためです。
半導体不足は深刻な問題で、給湯器に限らず、電化製品の生産や自動車製造に大きな影響を与えています。
現在では半導体市場の囲い込みを狙うアメリカや中国など、各国で半導体の争奪が起こっています。
(2)ワイヤーハーネスの不足
さらにコロナ禍によって給湯器の重要な部品となるワイヤーハーネスも不足しています。
ワイヤーハーネスは、複数の電線を束状にまとめた部品のことで、給湯器の内部構造に欠かせません。
製造工程でどうしても手作業になるため、人件費の安い新興国に生産拠点を置いていました。
その中で新型コロナウイルスの感染拡大によってベトナムがロックダウンしたため工場が停止し、ワイヤーハーネスが足りない状態になってしまいました。
(3)ガス給湯器メーカーの生産ペースの落ち込み
生産が供給に追いつかない状態が続いているため、ガス給湯器の大手メーカーであるリンナイでは、2021年12月時点で前年比2割減の生産ペースに落ち込んでいるのです。
日本中で品薄のため、発注しても2022年4月以降までいつ届くか分からない状態で、リンナイ、ノーリツ共に4月からの発注については定価の7%値上げという対応となりました。
(4)今後の品薄状況
予想では6月以降には納期の状況は改善される見通しですが、長引くコロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの世界情勢の変化で見通しが立てにくくなっています。
日本ではコロナ感染拡大が落ち着いてきましたが、2022年に入り、上海ではロックダウンが起きています。
上海には大手の半導体ファウンドリTSMCやWafer Worksなどの半導体生産工場があり、出荷に影響を及ぼす可能性が懸念されています。
また、ウクライナ戦争も深刻な問題です。半導体に回路を描くためのレーザーに用いるネオンについては、ウクライナが生産のおよそ7割を占めているからです。
サプライチェーンは現在機能しておらず、さらに半導体不足を加速させる可能性があります。
このような理由で、2022年もしばらくは給湯器品薄状態が続きそうです。
2. 交換できない場合に代理店や修理店でできること
では、このような品薄の状態の中で自宅の給湯器が故障してしまった場合、どう対処すればいいのでしょうか?
ここでは代理店や修理店などの専門業者で対処できることをご紹介します。
(1)入荷まで繋ぎの代替品・貸出品へ交換
給湯器が故障してしまうと、お風呂にも入れず、シャワーも使えませんし、食器洗いなどにもお湯が利用できませんので、たいへん不便な暮らしになってしまいます。
そうした場合、これまでは新しい給湯器に買い替えるのが一般的でしたが、今は入荷待ちの状態なので購入ができません。
入荷されるまで銭湯に通っている人もいらっしゃる状況です。
このような給湯器品薄の状態に危機感を覚えた政府は、2021年12月10日、経済産業省から「家庭向給湯器安定供給に向けた要請」を行っています。
部素材の代替調達先の調査や紹介などの対応を行っていますが、お伝えしてきたような悪条件が重なってしまいなかなか状況は改善されていません。
そのため、昨年12月には、五輪やパラリンピックで使用された選手村の給湯器1400台の貸し出しを始めるなどの対応をしています。
代理店などでも空室の物件の給湯器を代替品として貸出提供しているケースもありますので、修理や交換についてはまずは代理店や修理店に相談してみて、入荷までの繋ぎとする方法を検討してみてください。
お湯を使える環境を整えることが最優先です。
(2)パーツがあるものは修理
もちろん給湯器本体の交換ではなく、故障箇所の修理という選択肢もあります。
ただし、半導体を交換しなければならない場合や、ハーネスの部品が故障している場合は交換する部品そのものが欠品しているため修理ができない状態です。
それ以外の部分で不具合を起こしているのであれば、現状の給湯器を修理して利用し続けることが可能です。
リモコンに表示されるエラーコードでどこに不具合が起きているのか確認できますが、詳しくは業者に依頼して修理できるかどうかしっかり調べてもらうのがいいでしょう。
修理については給湯器の製造年月によって対応が異なってきます。
ガス給湯器の寿命はおよそ10年間ですので、その耐用年数を過ぎている場合は一箇所修理しても、他で経年劣化が起り、何度も修理する可能性があるということも覚悟しておく必要があります。
この場合は修理よりも本当は給湯器本体の交換が望ましいといえます。
あくまでも新しい製品が入荷されるまでの繋ぎの修理という考え方です。
また、メーカーによる部品の保存について目安が10年間となっていますので、修理したくても部品がどこにもなくて修理できないという可能性があります。
ですから故障が判明する前に、「そろそろ買い替え時かな?」と思ったら、早めに新しい給湯器を発注しておくことをおすすめいたします。
3. 自分でできる対処法とやってはいけない注意点
ガス給湯器には重大な事故を防ぐための安全装置が備わっています。
安全装置が作動してしまうとお湯が出なくなりますが、中には故障ではない場合もあります。
給湯器が品薄で修理や交換が難しい今だからこそ、あわてずにしっかり確認することが大切です。
確認のポイントと対処法・注意点を併せてご紹介しますので、チェックしてみてください。
(1)まず確認したいポイント
お湯が出ない場合に、「故障?」とあわてる前に、以下をチェックしてみてください。
それぞれのポイントの対処法と注意点について、以下でくわしくご紹介します。
(2)ガスが使えるか
お湯が出ないだけでなく、キッチンのガスコンロも使えない場合、ガスそのものの供給がきていない可能性があります。
ガスメーターのランプが点滅していないか確認し、点滅していればガスメーターの復帰作業を行いましょう。
ガスの遮断がなくガスの元栓を確認しても問題ないのにガスが使えない場合は、業者に連絡しましょう。
またこのとき「ガスのにおいがする」などガス漏れのおそれがある場合、復帰作業は行わないでください。
特に揺れの大きい地震のあとなどには、ガス管がズレたり破損していることもありますので、自分で判断せず、すべてのガス機器の使用を止め、ガスの元栓を閉めたうえで業者に連絡しましょう。
(3)止水栓が閉まっていないか
断水している場合にもお湯が出ません。
家の外などに設置されている止水栓を確認し、もし栓が閉まっていれば開けましょう。
古い止水栓の場合、無理に動かすとパッキンの劣化などにより水漏れすることがあるので注意が必要です。
(4)リモコンの電源が入っているか
リモコンの電源が入らない場合、給湯器本体ではなくリモコンの故障が考えられます。
単に電源スイッチをオフにしてしまっている場合もあるので、念のためリモコンの電源が入るか確認しましょう。
電源を入れなおしてもリモコンがつかない場合にはリモコンの故障が考えられますので、専門業者に依頼しましょう。
リモコンを自分で分解すると怪我をしたり修理対応が難しくなったりしますので、自分で行わず業者に連絡しましょう。
(5)リモコンに表示されているエラーコードは何か
給湯器のリモコンにエラーコードが表示された場合、どこかに不具合を起こしており、その部分の修理や交換が必要になりますが、このとき、エラーの内容によっては自分でできる対処法がある場合もあるので、一度確認してみるとよいでしょう。
点火不良を示すエラーコードの場合、給湯器の給排気口を落ち葉や荷物などがふさいでいる場合があります。
その場合はふさいでいるものをどかせば、空気が循環してエラーが解消できます。
またガスメーターの点検や元栓の確認などを行うことで、通常通りの運転が可能になることがあります。
ちなみに888や88のエラーコードは10年以上使用しており、点検時期を示したものですので、それ自体でお湯が出なくなることはありません。速やかに業者に点検してもらうことで表示を解除することができます。
また、エラー表示については電源を落としてリセットしてみるという方法があります。
給湯器のエラーには3回連続で作動すると点火できなくなる再使用禁止機能などもあり、このような故障ではない場合や、風雨などの一時的なトラブルですでに解消されている場合には、リセットすることでエラーコードが消えて問題なく使用できる場合があります。
ただし、ガス漏れのおそれがある場合には自分で対処せず、必ず業者に連絡しましょう。
(6)プラグ抜けやブレーカーが落ちていないか
いたずらや台風などの影響で、給湯器本体のプラグが抜けてしまうことがあります。
給湯器本体のプラグが抜けてしまっていないか確認しましょう。
また、本体に電力が供給されない原因としてブレーカーが落ちてしまっている場合もあるので確認してみましょう。
屋外のプラグの抜きさしをする場合は、濡れていると感電するおそれがあるので注意が必要です。
プラグ周りと手指の水分をよく拭き取って、よく乾いた状態で行うようにしましょう。
自分で行うのが心配な場合には、無理せず業者に連絡しましょう。
(7)凍結していないか
こちらは冬場の夜間や午前中に多いトラブルですが、給湯器や配管の凍結でお湯が出ないことがあります。
凍結が原因の場合は、お昼頃まで待つと凍結が解消して自然にお湯が出ます。
冷え込みが予想される場合に、あらかじめ給湯栓から少量の水を出し続けることで配管の凍結が予防できる場合があります。
凍結しやすい配管については、保温材を巻くなどの処置をしておきましょう。
長年の使用により保温材が傷んでいる場合もあるので時々点検しましょう。
リモコンに雪のマークや雪だるまのマークが出ている場合には給湯器の凍結防止機能が働いているので、エラーと間違えて電源を抜いてしまわないように注意しましょう。
凍結防止運転中に電源を抜くと、配管の破損の原因になります。
また、凍結を見つけた場合に早く溶かそうとして熱湯などをかけると配管を破損してしまうことがあります。
何もしないで自然にお湯が使えるようになるまで待つことが大切です。
4. まとめ
なぜ最近になって給湯器が品薄になってしまったのか、どうしてだろうという疑問は解けたでしょうか。
半導体不足、ハーネス不足は未だ先行き不透明な状態ですので、給湯器の品薄状態はなかなか改善していかないことが予想されます。
まずは今ある給湯器を故障しないように大事に使っていくことが重要です。
いざお湯が出なくなってしまったときは、あわてずに故障かどうか確認しましょう。
故障の場合でも、交換ではなく修理で対応できる場合があります。
ガス給湯器は可燃性ガスを扱いますので、修理には専門的な知識や技術の資格が必要です。
DIYが得意であったとしても、自分で給湯器を修理するのはとても危険なのでやめましょう。
リセットしても不具合が起こった場合は、必ず業者に連絡するようにしてください。
いざというときにあわてないよう、どこに相談するのか、信頼できる業者をあらかじめ探して決めておきましょう。