給湯器の保証について徹底解説!延長保証は必要?それとも必要ない?
最近の給湯器は一昔前の給湯器に比べて耐久性が向上しているため、そう簡単に壊れてしまうようなことはありません。
しかし、絶対に不具合が発生しないというわけではありませんし、壊れてしまわないわけでもありません。
そんな万が一の場合に対する備えとして用意されているのが、メーカー保証や延長保証などの保証サービスです。
給湯器は決して安い買い物ではないので、新しい給湯器を導入するのであれば、保証についての理解は必要不可欠。
実際、
「給湯器って無料保証はついてるの?」
「給湯器の延長保証って入るべき?」
と、保証に関するさまざまな悩みを抱えている方も多いはず。
そこでこの記事では、普段から給湯器の交換を実施している給湯器交換の専門家である私が、
給湯器の保証について詳しく解説していきます。
各メーカーの保証内容や延長保証、延長保証の必要性や注意点などについて詳しく紹介していくので、
ぜひ参考にしてみてください。
目次
1. まず知っておきたい給湯器の保証の種類
新しい給湯器を購入して住宅に導入する場合、まず知っておきたいのが、給湯器の保証の種類について。
給湯器の保証を大きく分けると、
- 商品に対する保証
- 工事に対する保証
の2つに分けることができます。
それぞれどういった保証なのかについて見ていきましょう。
(1)商品に対する保証
給湯器の保証の1つ目が、「商品に対する保証」です。
購入した給湯器に不具合が発生してしまった場合や壊れてしまった場合に、
商品を修理してもらったり交換してもらったりするタイプの保証がこれにあたります。
商品に対する保証には、「メーカー保証」と「延長保証」があります。
① メーカー保証
メーカー保証は、給湯器の製造・販売元であるメーカーが独自に定めている保証です。
保証の内容や期間、料金が発生する条件の有無などはそれぞれのメーカーによって異なりますが、
ほとんどの場合、通常の使用状況で発生した故障については
各メーカーが無料で修理をおこなってくれるようになっています。
② 延長保証
メーカーにもよりますが、給湯器には、メーカー保証以外に延長保証が用意されている場合があります。
ほとんどのメーカー保証は1~2年ほどで切れてしまいますが、
給湯器が壊れてしまう可能性は、古くなればなるほど高まっていってしまいます。
つまり、メーカー保証が切れてしまった後こそ保証が必要になってくるわけですが、
その場合に加入できるのが延長保証です。
延長保証は有料の保証で、加入するには規定の費用を支払わなくていけません。
しかし、加入することで、5年・7年・10年と、給湯器に対する保証期間を延長できるようになります。
故障のリスクが高まるメーカー保証終了後に備え、
お金を払って任意で加入するタイプの保証がメーカー保証ということになります。
(2)工事に対する保証
住宅への給湯器の導入や交換は、
- ガス会社
- 給湯器メーカー
- ホームセンター
- リフォーム会社
- 給湯器交換の専門業者
など、さまざまな業者が対応してくれます。
それらの業者がおこなう給湯器の設置作業に対する保証が、「工事に対する保証」です。
給湯器の設置には豊富な知識と高度なスキルが求められるため、
まれに、配管や部品の接続不良や部品の設備不良など、工事に起因する不具合が発生してしまう場合があります。
その場合、工事を担当してくれた業者が責任を持って修理してくれるタイプの保証が、
この工事に対する保証というわけです。
ただし、この工事に対する保証については、有料での対応になってしまう業者や、
そもそも工事に対する保証が設けられていない業者もあります。
そのため、給湯器に関する工事を実施してもらう業者を選ぶ場合は、
工事に対する保証の有無など、保証内容やアフターサービスに注意しながら選ぶ必要があります。
2. 各メーカーのメーカー保証
メーカー名 | 保証の内容 | ||
---|---|---|---|
一般品 | BL認定品 | その他 | |
リンナイ | 1年 | 2年 | 3年保証もあり ※申し込みが必要 ※業務用以外 |
ノーリツ | 1年 | 2年 | − |
パロマ | 1年 | 2年 | 5年保証もあり ※所有者登録が必要 |
パーパス | 1年 | 2年 | − |
上記の表は、給湯器の製造・販売をおこなっている各メーカーのメーカー保証の内容です。
どのメーカーも基本的なメーカー保証の期間を1年間としていますが、
BL認定品については保証期間が2年間に延長されます。
また、所定の手続きをおこなうことによってメーカー保証が3~5年に延長されるタイプのメーカーもあります。
BL認定品とは?
BL認定品はメーカー保証の期間が延長されると紹介してきました。
BL認定品とは、財団法人ベターリビングによって優れた住宅部品としての認定を受けた商品の総称です。
数ある給湯器の中でも、このBL認定品に認定された給湯器に対しては、
各メーカーがメーカー保証の保証期間を2年に延長して設定しています。
BL認定品の給湯器は、単純に一般の給湯器よりも保証期間が1年長くなるので、
給湯器を購入する際はBL認定品かどうかにも注目しながら選んでみるといいのではないでしょうか?
3. 各メーカーの延長保証
給湯器は毎日使用する住宅設備です。
そのため、長く使っていれば使っているほど不具合や故障が発生しやすくなります。
そういったメーカー保証終了後の不具合や故障に対応するために加入するのが、各メーカーの延長保証です。
給湯器の製造・販売をおこなっているメーカーとして有名な、
- リンナイ
- ノーリツ
- パロマ
- パーパス
は、それぞれ独自の延長保証サービスを展開しています。
各メーカーの延長保証サービスの内容について詳しく見ていきましょう。
(1)リンナイの延長保証「ワランティーV」
ノーリツと人気を二分する給湯器メーカーであるリンナイには、
「ワランティーV」という延長保証サービスが用意されています。
これは、給湯器の保証を最大10年まで延長できる延長保証サービスです。
対象商品と料金については以下のようになっています。
対象商品 | 料金 | |||
---|---|---|---|---|
5年 | 7年 | 8年 | 10年 | |
ユッコシリーズ(RUX・RUJ・RUK) | 3,500円 | 4,500円 | 9,200円 | 11,600円 |
ユッコUFシリーズ(RVD・RUF・RFSから始まる品番) | 3,700円 | 5,500円 | 10,000円 | 12,000円 |
給湯暖房機・暖房専用機(RUFH・RUH・RH) | 3,700円 | 5,500円 | 10,000円 | 12,000円 |
ビルトインガスコンロ(2口以上)(RS・RB・RHS) | 3,900円 | 5,200円 | 5,900円 | 8,100円 |
レンジフード(OGR−・XGR−) | 3,000円 | 4,000円 | 4,500円 | 5,500円 |
浴室暖房乾燥機(RBHリンナイ製・BRSマックス製) | 7,500円 | 10,000円 | 12,000円 | 16,100円 |
ビルトイン食器洗乾燥機(RKW・RSW・RSWA) | 3,400円 | 6,800円 | 8,400円 | 12,400円 |
給湯器を製造・販売しているメーカーの中には
10年の延長保証をつけると30,000円~50,000円ほどの費用発生するメーカーもありますが、
そう考えるとリンナイの延長保証は良心的な価格設定で非常に魅力的だといえます。
延長保証の必要性や延長保証に加入するメリットについては後ほど紹介していきますが、
そちらの内容を確認していただきながら、ぜひ加入を検討してみてください。
(2)ノーリツの延長保証「安心プランS」
日本の住宅の多くに採用されている給湯器メーカー「ノーリツ」。
そんなノーリツでも、メーカー保証が切れた後の備えとなる延長保証が用意されています。
それが、「安心プランS」です。
対象商品と料金については以下のようになっています。
対象商品 | 料金 | ||
---|---|---|---|
5年 | 7年 | 10年 | |
GT・GT−C(MB含む)・GTS・GQ−A(クイックオート)GRQ・GRQ−C | 5,400円 | 7,400円 | 26,400円 |
GQ・GQ−C(GQ−A・クイックオートは除きます) | 4,400円 | 5,000円 | 25,400円 |
OTQ・OTQ−C・OTQ−G・OTX | 7,400円 | 11,400円 | 37,400円 |
OQB・OQB−C・OQB−G・OX | 5,000円 | 9,000円 | 34,400円 |
GTH・GTH−C(MB含む)・GQH | 5,600円 | 8,400円 | 27,400円 |
GH | 4,400円 | 5,000円 | 25,400円 |
OTH・OHQ | 9,400円 | 12,400円 | 50,000円 |
OH・OH−G | 7,400円 | 11,400円 | 34,400円 |
テーブルコンロビルトインコンロ | 4,900円 | − | − |
ノーリツの延長保証サービスの料金は、10年タイプの延長保証の料金が、
リンナイの延長保証の料金と比べると結構高めに設定されています。
それでも2回ほど修理した場合は元をとれるような価格にはなっていますが、
高いと感じる場合は7年保証のプランへの加入も検討してみてください。
ただ、ノーリツの延長保証サービスは、24時間修理受付をおこなってくれたり、
10年プランの期間満了時には無料で点検してくれたりするなどサービス内容が充実しているので、
非常に魅力的なサービスとなっていますよ。
(3)パロマの延長保証「HOT安心システム」
パロマの給湯器にも延長保証サービスが用意されています。
それが、「HOT安心システム」という延長保証サービスです。
対象商品と料金については以下のようになっています。
対象商品 | 料金 | |||
---|---|---|---|---|
5年 | 7年 | 8年 | 10年 | |
ガス給湯器 | 3,600円 | 4,800円 | 9,600円 | 15,600円 |
ガス風呂給湯器 | 6,000円 | 7,200円 | 12,000円 | 18,000円 |
パロマの延長保証サービスは非常にシンプルで製品によって料金が異なるのではなく、
「ガス給湯器」と「ガス風呂給湯器」に対して一律で料金が設定されています。
また、価格も安いので、パロマの給湯器の導入や交換を検討されている場合は、ぜひ入られることをおすすめします。
(4)パーパスの延長保証「5年・7年延長保証システム」
パーパスの給湯器には「5年・7年延長保証システム」という延長保証サービスが用意されています。
対象商品と料金については以下のようになっています。
対象商品 | 料金 | |||
---|---|---|---|---|
5年 | 7年 | |||
BL認定品 | 非BL認定品 | BL認定品 | 非BL認定品 | |
給湯単能器 追い焚き専用器 |
5,000円 | 6,200円 | 8,000円 | 10,000円 |
ふろ給湯器 暖房専用機 |
6,000円 | 7,400円 | 9,600円 | 12,000円 |
給湯暖房器 石油ふろ給湯器 |
7,000円 | 8,600円 | 11,000円 | 13,500円 |
パーパスの延長保証はBL認定品と非BL認定品とで料金が異なります。
また、最長でも7年までしか用意されていませんので、その点については注意が必要です。
4. 給湯器の延長保証は本当に必要?
各メーカーの延長保証サービスの内容について詳しく紹介してきましたが、
そこで気になるのが、「給湯器の延長保証は本当に必要なのかどうか」について。
延長保証サービスは有料のサービスなので、加入するべきかどうかで迷ってしまっている方も少なくないかと思います。
そういった方にぜひ参考にしていただきたいのが、給湯器の延長保証に加入するメリットについて。
結論から言ってしまうと「給湯器の延長保証には入るべき」だと言えますが、
給湯器の延長保証に加入するメリットを知ってもらえれば、その結論に納得してもらえるはずです。
では、給湯器の延長保証に加入する3つのメリットについて見ていきましょう。
(1)万が一の際の備えになる
メーカーや製品、給湯器を設定している環境や使用の仕方によって異なるものの、
給湯器の耐用年数は10年が目安とされています。
これは各メーカーが「設計上の標準使用期間」として定めているものですし、
経済産業省と日本ガス石油機器工業会も、「給湯器10年取替チラシ」でそのように言及しています。
先ほど紹介したように各メーカーの延長保証は最大でも10年で設定されているものがほとんどです。
そのため、「耐用年数が10年なら10年の延長保証だと意味ないんじゃ・・・?」と感じてしまうかと思いますが、
「耐用年数=不具合の出ない期間、壊れない期間」というわけではありません。
7~8年ほどで壊れてしまい交換が必要になってしまうことは決して珍しいことではありません。
その場合、延長保証に加入していないと修理を実費でおこなうことになってしまいます。
そうなってしまわないためにも、メーカー保証が切れてしまった場合の万が一の備えとして、
各メーカーが用意している延長保証サービスに加入するべきだといえるわけです。
(2)1回でも修理すれば元がとれる
給湯器の延長保証サービスの料金は各メーカーによって異なりますが、
7年までの延長保証であれば10,000円~15,000円ほどに設定されていることがほとんどです。
一方、給湯器の修理を依頼した場合、1回の修理で10,000円~20,000円ほど修理費用がかかることになります。
もちろん修理にかかる費用についても業者や修理の内容によって異なりますが、
最低でも10,000円ほどはかかると考えておくべきです。
つまり、7年の延長保証に加入した場合、
その期間中に1回でも不具合や故障が発生して修理を依頼することになれば元がとれてしまう計算になります。
10年の延長保証になると30,000円~50,000円と料金が一気に上がるため、
加入は慎重に考えるべきだといえますが、それでも2回修理が発生すれば元がとれてしまう計算になります。
万が一の備えになってくれる点も加味すれば、決して高いサービスではありませんので、
やはりできるだけ加入しておくべきだといえるでしょう。
(3)満了時に点検してくれる
万が一に備えて延長保証に加入した場合、
当然ですが、延長保証の期間中に一度も不具合や故障が発生しないこともあります。
不具合や故障が発生しないにこしたことはありませんが、払い損した気分になる方も少なくないでしょう。
しかし、延長保証のサービスにはそういった払い損が発生してしまわないよう、
延長保証の期間満了に合わせ「満了点検」を実施してくれます。
点検といっても悪いところがあれば修理してくれますし、無料で部品の交換をおこなってくれる場合もあります。
満了点検の有無や無料での対応範囲についてはメーカーによって異なりますが、給湯器の点検を業者に依頼した場合、
数千円以上の費用が発生するので、その点を考えると払い損になってしまうことはまずありません。
これも延長保証サービスに加入することによって得られる大きなメリットになるので、
やはり各給湯器メーカーが用意している延長保証サービスには、極力加入するべきだといえるわけです。
5. 給湯器の延長保証に加入する場合に知っておきたい注意点
給湯器の延長保証は魅力的な保証サービスですが、実際に加入する場合、注意しておきたいポイントがあります。
各メーカーの延長保証サービスに加入する際にチェックしておきたい2つの注意点について見ていきましょう。
(1)故意に壊すなど過失がある場合は有料になる
給湯器は決して安くありませんし、生活に欠かせない住宅設備ですので、
故意に壊してしまうようなことはないかと思います。
ただ、万が一故意に壊してしまった場合など、こちらに過失があると判断されてしまった場合は、
延長保証に加入していても有料での修理になってしまう場合があるので注意が必要です。
メーカーによっては凍結による故障や破損などもユーザーの過失と位置づけている場合があるので、
故意に壊さないことはもちろん、説明書をしっかりと読み、正しい方法で管理するようにしましょう。
(2)天災の場合も有料になる
「故意に壊したりすることなんてないから大丈夫」と考えている方は少なくないかと思いますが、
延長保証では天災による故障についても保証されないため注意が必要です。
具体的には、
- 地震
- 台風
- 火災
- 雷
- 凍結
などがあげられるでしょうか。
そのため、これらの天災による被害については、火災保険や家財保険などでカバーする必要があります。
まとめ
給湯器のメーカー保証は1~2年となっているため、万が一に備えて延長保証に入っておくのがおすすめです。
延長保証に加入すると、
- 万が一の際の備えになる
- 1回でも修理すれば元がとれる
- 満了時時に点検してくれる
などのメリットが得られるようになるので、
これらのメリットに少しでも魅力を感じるのであれば、ぜひ加入を検討するべきだといえるでしょう。
代表的な給湯器メーカーには、
- リンナイ:ワランティーV
- ノーリツ:安心プランS
- パロマ:HOT安心システム
- パーパス:5年・7年延長保証システム
といった形で延長保証が用意されているので、
業者に問い合わせてみたりメーカーのホームページで確認したりするなどして、
ぜひ延長保証への加入を検討してみてください。